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土居珈琲ライブラリー > > コーヒー農園探訪(ハワイ編)


数あるコーヒーの中、知名度が高い銘柄のひとつに、「ハワイコナ」があります。

観光地として知名度が高い「マウイ島」ではなく、その南に位置する「ハワイ島」でコーヒー栽培が行われています。

日本で「ハワイコナ」の知名度が高い理由として、ハワイでの”おみやげもの”として数多く販売されているということがあります。

このハワイコナ銘柄、日本において「味」の評価がわかれる銘柄です。

「ハワイコナ銘柄の、あの味わいが好き」という方もいれば、「あんな美味しくないコーヒーを飲む人の気持ちがわからない」という方もいます。わたしは当初、後者の考えをもっていました。つまりハワイコナコーヒーを、高く評価していなかったのです。

なぜなら、わたしが口にしていたハワイコナコーヒーのほとんどが、“おみやげもの”として販売されていたものだったからです。

”おみやげもの”として販売されているハワイコナコーヒーは、まず、焙煎してから長時間経過していることが多い。また、生豆も、その多くは高い品質のものではなく大量生産を前提として作られたものでしょう。

では、ハワイコナ銘柄に可能性はないのでしょうか。いえ、そうではありません。

コーヒー栽培にもっとも適した環境として土壌が「火山灰土壌」であるということがあります。「火山灰土壌」は、土中に栄養分を豊富に含んでいるからです。土中の栄養分が多いということは、品質が高い銘柄を生み出すうえで、とても良い影響を及ぼします。コーヒー栽培に適した環境はそろっているのです。

さらに、もうひとつ、ハワイのコーヒー農園は、すばらしい条件を有しています。働いているスタッフの、「労働品質」が高いということです。

品質の高いコーヒーの樹ほど、育てるには人の手間がかかります。

コーヒーを栽培することは、想像以上に大変です。たとえば、低農薬でコーヒーを作り出そうとすれば、働くスタッフの労働量は爆発的に増えます。また、病害虫にもコーヒーの樹は弱い。実際ハワイ島に、「ブロッカ」という病害虫が近年発生したため、コーヒー農園は大被害を受けコーヒー豆の生産量が大減産となりました。

品質の高い銘柄を生み出すためには、長い年月を通して、丁寧な仕事を数多く積み重ねる
という条件が必須となるわけです。

わたしが実際にハワイ島のコーヒー農園を訪れて驚いたのは、想像以上に農園の生産管理が行き届いていることでした。考えてみれば当然で、ハワイ島はアメリカ国ですので、労働における技術は高いものを有しているのです。

ハワイコナの銘柄は、他の銘柄と比べると買い付け価格が高くなりがちです。それは、南米に比べるとやはり人件費が高いからです。ただ、人件費が高い国では、高い品質のものを作り出そうとする動きが生まれます。ですから、ハワイ島の一部のコーヒー農園では、現在、ことさら品質に特化した銘柄を作り出すことに挑戦する農園が出てきています。

ハワイ産の銘柄をテイスティングしていると、花を感じさせる香りのなかに、木の香りをかすかに感じさせ、口につけたとき、柑橘系の果実を感じさせる爽快な酸味の味わいをもつ銘柄に出会えるようになりました。

単なる“おみやげもの”というとらえ方であったハワイコナのコーヒーでしたが、いまやハレのときを飾るにふさわしい、銘柄を作り出すまでになっているのです。

最適な環境と高い労働品質。このふたつをかねそろえた「ハワイコナ」銘柄は、未来の可能性を強く感じさせてくれる銘柄に変化しているというわけです。