土居珈琲ライブラリー > 珈琲工房の現場から > どの銘柄を選べばいいかわからない、に答えます。(クリーミーな苦味編)
当社のお客さまから、こう言っていただくことがあります。
「美味しいコーヒーは飲みたい。だが、コーヒー通ではないので、どの銘柄を選べばいいか、わからない」
あらためて考えれば当然のことです。
たしかにコーヒーは、銘柄別に「味」に違いがあります。しかし、どのような違いがあるのか。それをご存知だというのであれば、よほどのコーヒー通です。
今週は、コーヒーには、どのような味の違いがあるのかについてお話したいと思います。
コーヒーの「味」と聞かれれば、多くの方が最初に思い浮かべるのは「苦味」ではないでしょうか。コーヒーの魅力は、「苦味」にあると言っても過言ではありません。
ただ、この「苦味」には質の違いがあります。口にしたときに、好印象をもつ「苦味」もあれば、逆に不快感をもつ「苦味」もあります。
この「苦味」に特徴をもつコーヒーには、インドネシア産の銘柄があります。インドネシア産のなかでもスマトラ島で産出される銘柄は、「マンデリン」系と称され、昔から日本にも輸入されています。名前を聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。
ただ、インドネシアのコーヒー生産状況は、あまり恵まれたものとは言いがたい部分があります。その理由は、100年ほど前にコーヒーの大敵である「さび病」が発生した影響で、多くのコーヒーの樹が枯れたためです。その後は大量生産がきく品種のコーヒーの樹に植え替えられた歴史があります。
このため、現在は、優れた「苦味」をもつインドネシア産の銘柄は、きわめて少量になっています。
インドネシアのコーヒーの樹と実。写真のように、まだ青いコーヒーの実は赤い実へと変化していきます。
また、コーヒーの生産技術も、中南米と比べると遅れています。
たとえば、農園内を見るとコーヒーの樹が等間隔に植えられていないことがわかります。等間隔でコーヒーの樹が植えられていないと、コーヒーの実に栄養分が均等に行き渡りません。こうしたことが、コーヒーの味を落とす原因となります。
ただ、少数ではありますが、インドネシア国内において、「自分たちが自信をもって送り出せる銘柄を作り出したい」という生産者もいます。そうした生産者が作る銘柄は、通常の大量生産を目的として作り出されたそれとは、別物であると言っても過言ではありません。
「苦味」の質が、根本的に異なります。
インドネシアにて、生産されたコーヒーを吟味する焙煎士 土居博司。
当社の焙煎士である土居博司は、40年以上コーヒーにたずさわっていることから、インドネシア産の銘柄には、強い思い入れをもっています。
インドネシアのコーヒーの歴史を知るものとして、直接この地に足を運ぶとき、大多数に反して品質の高い銘柄を作り出そうと努力している生産者に出会うと、自身の過去のいろいろな出来事を思い出し、戦友のような思いをもつそうです。
「どの銘柄を選べばいいかわからない」というとき、まず、インドネシア産の銘柄から試してみるというのはいかがでしょうか?
品質の高いインドネシア産の銘柄から楽しめる味わいは「クリーミーで濃厚、コクのある質の高い苦味」です。その味わいは、現在のこの地の生産者の努力が結晶となってできた味わいです。
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インドネシア アチェ ガヨマウンテン